スガシカオ「航空灯」


https://itunes.apple.com/jp/album/acoustic-soul-ep/id789029039


「Acoustic Soul」っていうタイトルが発表されたとき、
一番気になったのはこの曲。
(ま、ハダカハダカも気になったけどw)
そしてこのアルバムの中で一番大好きな曲になった。


いや、確かに、
多くの人が気になっただろう「きみが好きです」も、んん?とは思ったけど、
まあ、タイトルからそんなに外れないだろうな、と。
でも、「航空灯」はしばし考えてしまった。
発表直後に自分のFBには↓な感じでちらっと書いてた。


航空灯って?はて??
と一瞬思ったけど、あれのことなのかな?
翼の先についてる灯り。
右に緑、左に赤、尾翼に白。
夜の闇の中で、
その灯りはここにいるという存在証明であり、
目的地へ向けて飛んでいるという確固たる意思表示なのです。
…あっ、ビルの屋上についてるのも航空灯かな。
私には翼のほうだけど。


でもって、DL開始して初めて詞を見た。
翼のほうで、言葉の意味合いとしてはほぼ正解だった。
聞いた時、なにか心の中をよぎったような気がしたけど、
きっとそれは具体的な言葉や場所ゆえの、
デジャヴみたいなものなんだろうと思いこんで、
それについて深く考えることをしなかった。


それから一年後の金沢でのLIVE。
別のところで当日の感想を書いたけど、
色んな思い出や記憶や感情や情景があふれてくるような気がした。
きっと何かの箱が開いちゃってたんだろうな。
そして「航空灯」。
この時初めて、ある場所のことをはっきりと思い出した。


諦めてしまいそうな時、苦しい時に、
自分を奮い立たせる為に行ったあの場所。
滑走路の真横の道で、
降りて来る飛行機と飛び立つ飛行機を眺めてたことを。


行き場のない想い、苛立ちとか不安とか迷いとかを、
エンジンの爆風や爆音で掻き消してしまいたかった。
目的地へ向かって昼も夜も飛ぶ飛行機の姿に、
いつか自分もそうなりたいと願い、
飛び去っていく翼をずっと見てた。
暗くなると点される灯りは、
あの景色と大切な思い出、あの時の気持ちを思い出させてくれた。
まるで希望の光のように思っていたんだ。


今は整備されてあのあたりは公園になっている。
当時は工場の立ち並ぶほとんど人通りもなく、
夜にはぽつりぽつりと街灯のみの道だった。
いったい何回行ったのかな…。


歌詞の中では、
羽田の近く、車の中に2人でいるように描かれてる。
でも、初めて聴いたときから、
どうしても1人でいるとしか思えなかった。
自分で自分に語りかけている、と。
あの情景が浮かんだ時に、そう感じたことに合点がいった。
そしてこれは「私の曲だ」と思った。
もちろん、シカオちゃんの意図する本当の解釈とは違うかもしれない。
でも、ぶっちゃけそれは別にどうでもいい。
こんなに深く心に入り込んでくる曲ってそうない。
正しい解釈も大切だけど、
私にはそこまで思えることのほうを大切にしたい。


あの場所は今もなお私の中で特別な場所だけど、
そこに行けなくとも、
この曲を聴くたびに、
羽田を発つ飛行機を見るたびに、
あのときのように前に進もうと思うんだろう。
色んな気持ちを飲み込みながら。
あの頃からまだ続いてる夢、
そして別の想いや願いに向かって。
たとえそれが苦しい道であったとしても。