小沢健二ひふみよをふりかえる


あの日、開場は遅れ開演も遅れた。
アナウンスが流れ、まもなく始まることを知らせる
客電が落ち、メンバーがステージに現れた気配がした。
そして暗転のまま「流れ星ビバップ」が始まった。
13年も待ち望んだ瞬間が訪れたことを知る。
沸き起こる歓声と拍手。
そう、待っていたのは私だけじゃないんだ。
暗闇に慣れた目に、小沢くんの姿をそこに感じる。
少し太く低くなった歌声が聞こえる。
それに合わせ、13年という間なんてまるでなかったかのように、
音楽に合わせ、手をたたき歌詞を口ずさむ。
曲が終わり、まだ暗闇のまま小沢くんが話し始める。
ニューヨーク大停電の時の話だ。
視覚が奪われてる分、より耳に、心に深く届く。
朗読が終わり、「ぼくらが旅に出る理由」が始まった。
それでもまだ、暗闇は続いた。
そして、サビに入る直前、客電が点いた。
一瞬にして光があふれる会場、
ステージ真ん中には手を広げた小沢くんがいた。
・・・。
・・・。
泣きましたよ。ええ、泣きました。
溢れる涙が止まりませんでしたね。
小沢くんが好きでよかった!そして、音楽が好きでよかった!
心底からそう思った。
正直、そこから後はあんまり覚えてません。
本当に夢中でした。
小沢くんの頬のラブリー(←これはホクロのこと)が見えたとか、
相変わらず髪がサラサラだなとか、
京都の時には、ブギー・バックでまさかのスチャダラ登場で超盛り上がった!とか、
13年以上ぶりのドアノックダンスが完璧に踊れたとか、
そんなどーでもいいような断片的な記憶ばかり。
(あ、スチャダラ登場はどーでもよくないっ。汗
超重要なことでした!)


そんな中、とても印象に残った小沢くんの言葉。

この街の大衆音楽の一部であることを誇りに思います。ありがとう

ややもすれば通俗的なものといわれてしまう大衆音楽。
それはつまり、一部の人だけのものではなく、
誰にでも何処ででも耳にすることができる開かれた音楽だということだ。
天使たちのシーン」の中に、
にぎやかな場所でかかり続ける音楽に 僕はずっと耳を傾けている
という部分があり、
ポップミュージックに対する信頼だと私は思っている。
この言葉はものすごく重い言葉だと思う。


幸せな時間は終わってしまった。
7月6日に「さらに何か」があるらしい。


小沢くん、ありがとう。
そして、いつかまた、きっと。