今年の忘れられないこと


2008年もあともう少し。
今年も相変わらず、時間がたつのが早かったなあ…。
いつもあっという間だと思うけど、とりわけ早かった気がする。
駆け抜けた、って感じ。
何なんですかね?


今年、いろんな意味でガツンときたことがいくつかあって、
これでいいんだ!って思ったり、目からウロコで新しい発見をしたり、
これからも頑張ろう!って思ったりした。
この年になっても、いや、いくつになっても、
心にガツンとくることがあるって嬉しいな。




・本


そもそも音楽雑誌ってあまり興味がなくて、
前にも書いたことあると思うけど、
本人が書いたライナーノーツとかも、ぶっちゃけあまり気にしない。
あくまでも、音楽雑誌のレコ評だとか、ライナーノーツとかって、
あくまでもその音楽の情報のひとつであって、
自分がその音楽そのものから受けた印象や感覚や感想には影響しない。
たとえそれが本人の言葉であっても。
基本的に、自分がそれから受けた印象は、
自分だけのものであると思っております。
(ライブはまた別モノなんだよなー。音楽の面白いところだと思う)


ま、そんな私ではありますが、
あまたある音楽雑誌の中でも、
そこそこ読んでるものがロッキング・オン・ジャパンという雑誌です。
読み始めたきっかけは小沢くんですね。
インタビューが面白いなあ、と思って手に取ったのがきっかけだったかな。
この雑誌に取り上げられているジャンルとかアーティストには、
ぶっちゃけそれほど興味がなかったりするんだけど、
それも含めて読んでいると、色んな音楽があるんだなあ、と思う。
私が、この雑誌を好きだと思うのは、
雑誌メディアという媒体の中で、
ライターの主観で書かれている文章を、
主観ですが何か?的な文章で、発行している点なのです。
主観であるが故に、そのライターの個人的な感情が見え隠れするのが面白い。
そして、作り手の熱さ(時に暑苦しい時もあるけど)を感じます。
だから、妙に文章にチカラが入っていたり、その逆もあったりするし、
見方が偏狭だったりもする。
そのへんのブレ加減が、時に批判されたりするんだと思うけど。
一時、編集長が変わってから離れていましたが(鹿野さん、兵庫さんゴメン。汗)、
山崎洋一郎さんが戻ってきてから、またチェックするようになりました。
…と言いつつも、実際に買ったりするのはたまになんですが。大汗
買うにしろ買わないにしろ(←再びスミマセン。汗)、
毎号チェックしてるのが「激刊!山崎」です。
山崎さんの文章って、好きなんだよなあ。
主観を主観のままに、そしてそれを客観的に表現できるって、
本当に難しいことだと思うんだよね。
それをできる山崎さんって頭のいい人なんだろうなあ、って思う。
頭のいい人って大好物です!笑
個人的には、この人がプッシュしている音楽って興味ないし、
実際に聞いてみたりするわけじゃないんだけど、
でも、きちんと受け止めることができる数少ない人であります。
村上春樹さんがシカオちゃんを評した文章でいうところの、

ただ僕が言いたいのは、「スガシカオの書く歌詞は、スガシカオの書く個人的作品として、
ひとまず受容することができる」ということである。
当たり前の話だが、まずそういう受容プロセスがあって、そこから個々の評価の出し入れが始まるわけだ。

まさにそんな感じで、文章を受容することができる。
文章を自分の中に取り込んだときに、
はなからケッと思ったり、なんだそれ?とか思ったり、スルーしたりするんじゃなく、
自分の感情に左右されずに、ひとまずその文章を自分の中で受け入れてしまう。
どんな時も、そういうふうにさせる人って、私的にはかなり少ない。


で、とある時、いつものように書店で「激刊!山崎」を開きました。
…思わずほろっとしてしまいました。お店の中なのに。
ちょうど、自分の中で音楽の位置づけがはっきりしなくて、
音楽って何よ?って思っていた時期だったこと、
しかも、そのコラムの中で取り上げられていること、
「自分を受け入れるということ」「表現」「音楽の良さがわかるということ」が、
ドンピシャだったこともあって、
本当にほろっとしてしまいました。
去年以降色々とモヤモヤしてて、
自分が考えていたことにいまひとつ自信が持てなかったけど、
今の自分が感じてることを信じていいんだ、と思わされた。
心を鷲掴みにされる、っていうのはこーいうことなんだと。
久しぶりにこういう感覚を味わいました。
もちろん、速攻で買って帰りましたとも。笑
でもって、このページを今も手帳にはさんでいたりして。


全文が本当に素晴らしいので、本当は全文を抜粋したい。
でもそれはダメなんで、結論の部分を抜粋して掲載。
しかし、ここはあくまでも結論の部分であって、
本当に素晴らしいのは、本文すべてだと思うので、
是非、たくさんの人に、全文を読んでほしいと思う。

自分の欠落を埋めるための表現、もっとこうなりたいと願う表現、
自分を受け入れてその上で大切なことを言うための表現、世の中にはいろいろある。
それぞれが、それぞれを必要としている人に届き、心を動かす。
いろんな音楽の良さがわかるということは、いろんなジャンルを知っているということではなくて、
こういうことがわかるようになるということではないかと、今月は強く思った。


rockinon JAPAN 2008年4月号 Vol.331「激刊!山崎」より一部抜粋

・虹


比較的、虹を見る機会が多いほうだと思う。
去年は、札幌のモエレ沼公園で4回も異なる虹を見たし、
ブロッケン現象に出くわしたこともあったし。
飛行機で大阪に飛んでる最中に、
富士山あたりから大阪へ降下するまでの間ずーっと、
丸い虹の中に飛行機の影が雲に映っていました。
この現象って本当にめずらしいことらしく、
飛行機には何百回と乗ってるけど、初めて見ました。
今年見れたのも飛行機の中から。
降下の最中ふと窓の外を見ると、
雲から太くて色のはっきりとした虹が立ち上がっていて、
その虹が消えてしまうまで、ずっと眺めていた。
降下中だったから、デジカメに撮れなかったけど。
でも、その分、ずーっと見てた。あの時の虹はきっと忘れないと思うよ。


私の友人に虹が好きではない人がいる。
虹はとても綺麗だと思うけど、
虹に近づいたつもりになってもすぐ遠ざかってしまうし、
一瞬で消えてしまったりするから、
虹は儚いもの、手が届かないものの象徴だ、と。
だから苦手だと言う。
確かにそのとおりだと、私も思う。
でも、だ。
虹に限らず、この世のもの全てが刹那だと思うのです。
見えるもの、見えないもの全てが。
だから、その美しく儚いものを、一瞬でも見れたことを、
私は嬉しく思うし、シアワセだと感じる。


虹は、とても離れた二つの場所に一瞬で橋を架ける。
だから、虹は、繋げるもの、あちらとこちらを結ぶものだと私は思う。
たとえそれが不確かで儚いものであったとしても。



・黄金の月@12/4高崎



この日一番は「アーケード」と「月とナイフ」の連続技なのかなーと思ってたけど、
あっさり、この曲が一番でした。まさに圧勝。
中盤、この曲を始める前に、
シカオちゃんはいつになく真面目なMCをして、
やっぱりなと思ったし、ちゃんと聞かなきゃいけない気がした。
息さえするのを躊躇してしまうほど、
あんなに真剣に一音一音を逃さぬよう聞いたのっていつ以来かな…。
以前のログにも書いたことがあらけど、
この「黄金の月」という曲のことを、
「自分の周りに色んなネガティブなことがあっても、
暗い夜に、自分を照らしてくれる黄金の月がない時でも、
自分の心にその月を描いて、それを見てすすんでいこうよ」
っていう曲だと、私は捉えていました。…この時までは。
この日、「黄金の月」を聞きながら、
私が今まで捉えていたような、「進んでいこうよ」みたいな、
そんな甘っちょろい詞ではないように思えてきました。


スガシカオ 「黄金の月」 

黄金の月

黄金の月



2008年もあと数分。
今年も楽しい一年でした。
2009年も、幸せな一年になりますように!