灯ともし頃

この時間が、とりわけ冬のこの時間が大好き。
「灯ともし頃」とは、字の如く、
そろそろ薄暗くなって灯りが必要な時間帯のこと。
同義語としては、「薄暮・灯ともし頃・黄昏・誰そ彼・逢魔が時」。
逢魔が時」って夜中の2時ぐらいなイメージだけど、
広辞苑」によると
「(オオマガトキ(大禍時)の転。禍いの起る時刻の意)
夕方の薄暗い時。たそがれ。おまんがとき。おうまどき」とある。
他で調べると、
「夕暮れ時は人を惑わす禍や魔が潜むとされ、魔に逢う時刻という意味」
その言葉も意味も知らないような幼い頃から、
何故か、この時間にはなぜか別の世界に繋がるところへ
迷い込んでしまいそうな気がして、少し怖かった。


今頃だと、だいたい17時半ごろかな。
日が落ちその端にはまだ明るさが残っているものの、
空のほとんどは、青みがかったグレーに覆われている。
闇が広がり始める時間。
ふと手元を見ると、
手の輪郭がぼんやりしてるような気がした。
自分自身と外の境界線が曖昧になっているような、
ゆるゆると融け出しているような錯覚を起こす。
周りのものもみんなぼんやり見える。
そして、顔を上げると、
街の明かりが、やけに柔らかく見える。
もっと夜になると、その明かりはくっきりと存在するのだけど、
この時間の灯りは、まだ太陽光が残っているせいか、
ぼんやりと柔らかく照らしてるように感じる。
そして、寒い外から見ると、
ファミレスやお店のオレンジの灯りが、とても温かそうに見えて、
「早くおうちに帰りなよ」って言われてる気がした。
淋しがりではないはずなんだけど、
誰かの声や温もりが恋しくなる。
今でも、この時間はどこかに踏み込んでしまいそうで少し怖いけど、
街の柔らかな灯りとそれに照らされる風景を見てると、
いつもより少しだけ優しい気持ちになれそうで、
そして、素直に甘えられそうな気がする。
きっと顔つきも少しだけゆるんでるはず。
もう少し夜になると、
暗闇に負けぬよう、強い光が目に宿るはず。
だから、さほど長くないこの時間が好き。



♪今日の1曲

スガシカオ「愛について」

愛について

愛について

ぼくらが もう少し 愛についてうまく
話せる時がきたら くらしていこう
すばらしく すばらしく 毎日が過ぎて
悲しみに出会う時は 涙を流そう


夜がきて あたたかいスープを飲もう
明日も きっと また寒いから